《 世界のワクワク住宅 》Vol.002

アスレチックネット住宅 子どもたちのライフスタイルに合わせたインテリア 〜モスクワ(ロシア)〜

投稿日:2018年1月18日 更新日:

モスクワに拠点を置く建築家集団リュータンプル(Ruetemple)が施主に依頼されたのは、学校に通う姉弟が共同で使う部屋の設計・デザイン。空間を勉強と遊びのスペースに分けたいとの要望もあった。

そのため、異なる目的を持つ空間のコントラストを表現することがデザインコンセプトの中心になる。まず、勉強に集中できる空間を確保する。そして、遊びのスペースは可動式空間にする。えっ! 可動式? どうやって? 空間を自由に仕切ったり演出したりできるのは、3つのキャスター付ユニットに分かれる黒い立方体家具のおかげだ。ユニットの配置次第で、空間は開放的な居間、リラックスできるくつろぎのスペース、友人たちと遊ぶ部屋に早変わり。部屋の中に設えられた究極の個室にもなれば、快適なベッドルームにもなる…というように、この家具と空間の楽しみ方は無数にある。

流動性を巧みに活かしたこの空間のもう一つの特徴は、天井に近い梁と梁の間に格子目のアスレチックネットを張り巡らせたことだ。

勉強に疲れたら、アスレチックネットに寝そべって昼寝したり、読書したり、物思いにふけったり…そして夜になれば、天窓から夜空の星を数える楽しみまである! そう、このアスレチックネットも子どもたちに空間の楽しみ方を無数に提供する仕掛けなのだ。

たくさんぶら下げた透明な電球も軽やかさを演出しつつ、空間の表情を昼と夜とで微妙に変えていく。子どもたちは時間とともに変化する空間の色を感じ取りながら、さらに多くの楽しみを見つけるはずだ。

設計:Ruetemple(ロシア、モスクワ)

デザイナー:Alexander Kudimov, Daria Butanina

広さ:33平方メートル

施工年:2013年

写真:Ruetemple

 

出典(元ネタ): ArchDaily (2013年6月10日)

文責:林はる芽

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林 はる芽

フリーランスの翻訳家・エディター 日本語・フランス語・英語、時々スペイン語・ドイツ語を翻訳。 最近のおもな訳書にフレデリック・マルテルの3著『超大国アメリカの文化力』(共監訳)(岩波書店2009)『メインストリーム』(同2012)『現地レポート 世界LGBT事情』(同2016)、Kenjiro Tamogami, et.al. Fragments & Whol (Editions L’Improviste 2013) [田母神顯二郎他『記憶と実存』(明治大学 2009)]など。

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