「ワクワク賃貸®妄想中」で取り上げられた
「楽しく赤ちゃんを育てられる賃貸住宅」について検証したい。
はじめに
このコーナーの主人公、きなこですわ!
それより、今回のテーマは「楽しく赤ちゃんを育てられる賃貸住宅」ですわよ!
「ワクワク賃貸®妄想中」vol.004に書かれていた「赤ちゃんがいる世帯優先」という条件も、募集のときや契約書の特約をいろいろ工夫する必要がある。
室内の工夫は「妄想中」の記事に挙げられていた以外にもいろいろ考えられそうだけど、まずはすべり台を共用階段横に作っても大丈夫なのかどうかを検証してみる必要があるかな。
よーし、じゃあさっそくすべり台の専門家にアタックですわ!
そしてよくスベってるのは岡田さんの方!
作るのはあくまでも賃貸住宅なんだし、専門家に話を聞くならすべり台じゃなくて住宅の専門家、建築士さんがいいだろうね。
賃貸住宅にすべり台を設置するには?
カクカクシカジカで、賃貸住宅の共用階段の横にすべり台を付けてみたいと思っているんですが、そもそも法律的な問題とか構造的な問題とか、どうなんでしょうか?
ただ、普通の公園とかにあるすべり台ってだいたい高さが2メートル、角度は30度くらいなんだけど、2階建てのアパートの階段でそのままやろうとすると高さが3メートルになっちゃうんだ。傾斜の角度も40度ぐらいになっちゃうと思う。そうすると・・・
そうすると赤ちゃん向きのすべり台じゃなくなっちゃうってことですね。
でも、やりようはいくらでもあって、たとえば階段ごと長さを普通より長くするとか、階段の途中にステップを設けて長さを稼ぐとか。
・・・あ、でもそうすると共用部分の面積が広くなっちゃいますね。
ええと、建ぺい率っていうのは敷地面積に対する建築面積のことで・・・まあ、今回の場合は「階段が長くなればその分、お部屋の面積を小さくしなければいけなくなっちゃう」っていうことだね。これは建築基準法上の規定なんだ。
共用部にゆとりをもたせていろいろな機能を設ければ、あまりそこは気にならないんじゃないかな。たとえば「妄想中」の記事にもあるような「ベビーカー・電動自転車・三輪車」用のスペースなんかは室内にあるよりも共用部分にある方が便利だったりするでしょ。
階段が長くなるなら、その階段下のスペースを共用部分として充実させれば良いんだよ。
そういえば妄想記事には「砂場」なんていうアイデアもありましたけど、砂場って共用部に作っても問題ないんでしょうか?
でも砂場は衛生面を気にする声が最近は多いし、野良猫なんかが侵入して落とし物をしていったりするかもしれないし、ちょっと作った後の管理が大変かもしれないね。
実際にプランニングしてみた!
【2F平面図】
【1F平面図】
すべり台がカーブしてますわ!
しかもすべり台の下は芝生になっているから危なくないし、まるで本当に公園みたいですね。
階段下のスペースはベビーカー置き場で、駐輪場もゆとりのある広さになっていますね。
子どもサイズで作るとすると、すべり台の幅は40~45センチぐらいかな。
すべり台の幅が広すぎると子どもが横に転がってしまって危ないと思う。
あと、階段とすべり台との間には仕切りを付けておかないとすべっているときに引っかかっちゃうから注意が必要だね。
室内はどうしようかな?
ここまででまだ共用部分のすべり台についてしか検証できてませんわよ!
室内に関しては妄想記事にあるような工夫でも十分に赤ちゃんが住みやすいようにできると思うんだけど、これは実際に子育て経験のある方の声を聞きたいところだなぁ。
結果はこちら!
新井衣理さんのアイディア
安全性
- キッチンに入れないようにでき、キッチンで作業しながら子どもの様子が見渡せる
- ベビーサークル的な空間がある(腰高の壁や柵等で囲われた空間) ー①
- 壁や柱の角が丸くなっている(カバーは外れやすい)
- 扉に指を挟まないよう工夫がある
- 室内の段差が少ない
利便性
- 汚れや傷に強い、汚れが落としやすい床・壁材
- リビングと寝室が隣接した間取り(子供が寝ている間にリビングにいても様子がわかる)
- 玄関から洗面・浴室が近い間取り
- 畳など柔らかい床の空間がある ー②
- 音が響かない
- 子供に触られたくない物をしまっておけるように、吊戸やロックできる収納がある
(赤ちゃん時代に本棚の本を片っ端から出されたので、子供の手が届かない高さの本棚があったらよいと思う) - 子供と親が並んで座れる広さがある玄関
楽しさ
- 壁紙がPOPな色・柄遣い
- 扉や窓などが丸みを帯びたデザイン
- 屋根裏部屋や押入れの中のような、秘密基地風な空間がある -③
でも、一つ一つはそんなに難易度の高い内容ではないし、特にリノベーションや新築プランニングの段階で組み入れれば十分にいくつも実現できると思う。
玄関の広さや段差なんかは古い建物だとどうしても難しいかもしれないけど、「壁や柱の角を丸くする」や「吊戸やロック式の収納」などのアイデアはマンションのリフォームでも活かせるはずだ。
今回の実現度は・・・?
研究協力
田中 謙次(タナカ・ケンジ)
NK総合建築株式会社一級建築士事務所 代表取締役
プロフィール
ゼネコン、中堅工務店を経て2003年3月、29歳で独立。
不動産が好きで自身も23区内に10棟73室を保有、運営する不動産投資家(2018年3月現在)。
築古戸建をセパレート再生する収益化リノベーションや、コストバランスに優れたマンション、アパートの設計・施工を得意とする(構造は問わない)。
「大家さん、投資家の目線を持った建設会社」として高く評価されている。
連絡先
E-Mail k.tanaka@nk-sogo.net
URL http://nk-sogo.net
執筆:森下智樹
企画・監修:久保田大介