「ワクワク賃貸®妄想中」で取り上げられた
「ドラマ『Chef』の部屋」について検証したい。
はじめに
ワクワク賃貸®研究所・所長の森下です!
さて、この研究所は「ワクワク賃貸妄想中」で取り上げられた妄想・アイディアは本当に実現できるのか?」をトコトン検証するため、都内某所に設立されました。
まあ、そういうことだね。
「ドラマ『Chef』の部屋」とは?
じゃあ、この妄想は実現不可能ですわね。本日のテーマは検討終了!お疲れ様ですわ~。
そこで終わっちゃったら研究所の存在意義がないでしょ!
まずは建築基準法。この法律には「用途地域による建築物の用途制限」という規定があって、たとえば「この地域には住宅は建ててもいいけど店舗はダメ!」とか、結構細かく決まっているんだ。
今回のケースの場合は「まるでレストランの厨房のようなキッチン」を付けるわけだけど、あくまでも自分の部屋の設備として、個人で楽しむために使うのであれば「住宅」の範疇と考えられる。だから、もともと居住用のマンション(住宅)として建築されている建物内でやるのなら法的な問題は生じないだろうね。
チェーン居酒屋みたいな値段設定だし!
もちろん、お金を取って食品を提供するのは飲食店業に該当するから、さっきの「用途制限」を守らなきゃいけないし、飲食店業の開業許可なんかもしなければいけなくなるね。
まあ、居住用マンション内だったら十中八九、マンション管理規約でNGだろうけどね・・・。
管理規約についても検討すると、「リフォーム制限」を定めたマンションは多いはずだよ。フローリングの遮音等級に決まりがあったり、何週間前までに申請を出さなきゃ着工できなかったり、などの内容だね。
でも、「キッチンのサイズ」に制限を課しているマンションはほぼないと考えられるので、今回のようなリノベーション計画も、きちんと手順を踏んで申請をすれば問題ないはずだ。
今回の検証にあたっては、リノベーション工事を専門とするA.BOX工房株式会社の代表、日暮敦子(ヒグラシ・アツコ)さんに協力していただくことにした
今回の題材に選んだのはこちら!
専有面積55㎡・3DKのマンションを選んでみた。これは昭和51年建築のマンションだけど、古いマンションにはこのタイプの間取りが非常に多いと思う。
日暮さんにリノベーションプランを考案していただく際、研究所からはこんなリクエストをしたんだ。
【リノベーション工事のポイント】
〇キッチンは小規模レストランの厨房としてプロのシェフが使っても不自由がないレベルの質、サイズとすること。
〇キッチン以外のスペース(寝室、リビング、収納等)は必要最小限にとどめること。ただし生活するのに必要な広さ、大きさは確保すること。
それじゃあ、また来週~♪
日暮敦子さんの説明
プランAは、存在感のある大きな天板の対面キッチンでW2700サイズです。
ファミリータイプの賃貸マンションでW2500あればかなり目立つのですが、それよりさらに200mm大きいので、なかなかのインパクトを与えると思います。
キッチンと玄関の間には2.5畳大のパントリーを設けているのもポイントです。ここには大量の食材をストックしておくことができます。
キッチンの背面には電子レンジや炊飯器などを置けるカウンターと食器棚を置けるようにしています。
さらにキッチン横にも食器棚が置けるスペースを設けていますから、すぐに使うものとそうでないものなどを使い分けるのに便利です。
ワインセラーを置くスペースもあり、冷蔵庫ももちろん大型のものをゆったり設置できるようにしてあるから、まさにレストランの厨房そのもの。
しかもこのキッチンはバルコニーを向いており、外を眺められるようになっています。
明るい陽の光を浴びながら料理するのはとっても気持ちいいでしょう。
キッチンカウンターの横にはテレビボード、ソファーなど食後に寛げるスペースも確保されています。バルコニーに出て珈琲を飲むのも快適です。
寝室は元の位置のままですが、寝室とパントリー、パントリーとキッチンの仕切りをガラスにしているので、いつでも大好きなキッチンを眺めることができるようにしてあります。キッチンそのものを飾りにして眠りにつけるのは、お料理好きな人にはたまらない贅沢ですね。
間取りでいうと「1SLDK」への大胆な変更だね。
日暮敦子さんの説明
プランBはキッチンのサイズをW3400とAよりさらに大きくとってみました。
それだけでなく、背面の食器棚のスペースも拡大しています。
食器棚だけでなくカウンターを設けると、より本格的な料理に取り組むことができますね。
アイランドキッチンなので、左右両方から出入りすることができるのもポイント。
ひとりでなく数人で一緒に料理をするとき、ストレスを感じず、みんなで楽しめる間取りに仕上げました。
どちらのプランもキッチンはやはりキレイにしておきたいので、動線部分の仕上げは全てタイルにしています。
とにかく食品をたくさん揃えたいから、収納は目一杯とっています。
プランAはキッチンを横に配置していたけど、プランBはキッチンを縦に配置することで極限までキッチンサイズを大きくしているわけだ。
けっこうな金額に見えるかもしれないけど、この広さでもともと築年数が古くて、リノベーション工事をしなければ次の入居者募集ができないぐらいだった場合、解体や壁や床の張り替えに設備の入れ替えで、どうしても500万円程度はかかるはず。そうすると一般的なリフォームと比較した場合のプラス分は50~150万円ということになるね。
“妄想”001の実現可能性:90%
研究協力
日暮敦子(ヒグラシ・アツコ)
A.BOX工房株式会社 代表取締役
プロフィール
積水ハウス設計課にて15年間勤務を経て、スカイコート株式会社でワンルームマンションの営業を経験。その後、ハプティック株式会社にて、営業部長としてリノベーションの営業、設計施工管理を担当。2012年3月にA.BOX工房株式会社を設立、年間100部屋のリノベーション施工、近年は人気のシェアハウスも多く手がける。
連絡先
E-Mail a.box.koubou@gmail.com
URL https://abox-kb.com/
執筆:森下智樹
企画・監修:久保田大介