少し前の話になるが、男3人で飲んでいるとき、ひとりが「今、家でウサギを飼ってるんです」と言い出した。
するともうひとりが「僕も子どものころ飼ってましたよ!」と言ったので驚いた。
なぜなら僕も昔、ウサギを飼っていたことがあったからである。
イヌやネコならいざ知らず、ウサギの飼育経験がある率100%の集まりなんて奇跡だ!ということで、その日はウサギ話で大いに盛り上がった。
ちなみにこれが僕が小学校低学年のころ飼っていたウサギだ。
「みんみ」という名前をつけ大切に育てたが、えさを食べさせすぎたのが悪かったか、ぶくぶく太ってしまい、このあとこのウサギ小屋と同じぐらいの大きさになってしまった。
「いくら何でも大げさでしょう?!」とよく言われるが、小屋に入れたらほとんど隙間がなかったのだから間違いない。
それはさておき、ウサギってこんなにかわいいのに、ブームになるほど飼育者が多くはならない。
なぜなんだろう?と酒席をともにした現役の飼育者に訊ねたら、「うちの子はあんまり該当しないんですけどね」と前置きしたうえで、理由を列挙してくれた。
〇その1:体毛が抜け、部屋を舞う
〇その2:歯が伸び続けるので、壁や柱をガリガリかじる
〇その3:あっちこっちでおしっこやフンをする
〇その4:よく病気をするが、体調が悪いのをアピールしてくれないからわかりづらい
話を聞いてるうちに飼っていた当時のことを思い出してきたが、確かにみんみも壁や柱はよくかじったし、豆ころみたいなうんちを部屋中あちらこちらでするもんだから、拾って歩くのはなかなか骨だった。
体毛が抜けるのはあまり記憶がないけれど、掃除をする母はきっと大変だっただろう。
あと、「とても寂しがり屋で、旅行に行きづらい」なんて話も聞くが、うちのみんみも3日間、家族旅行している間に死んでしまった。
帰ってきたらぐったり動かなくなっていて、泣きながら庭に大きな穴を掘って埋めたことをよく覚えている。
つまり、ウサギは飼うのがけっこう大変な動物なのだ。
管理会社の立場で言うと、賃貸住宅で飼われたら、壁や柱をかじられるのはかなわないし、おしっこや糞をまき散らかされるのも困る。
しかし、問題点があればきっと解決策もあるはずだ。
知恵を絞り、「ウサギを安心して飼える賃貸住宅」というのをつくったら、けっこうヒットするかもしれない。
ところで、本稿で登場した「現役のウサギ飼育者」とは、「ワクワク賃貸®研究所」の森下所長である。
飼っているウサギは研究所で助手を務めてくれている「きなこ」ちゃんだ。
ウサギを愛してやまない森下所長なら、問題の解決策をきっと考え出してくれるはず。
いやもう答えをすでに持っていて、快適にきなこちゃんとの暮らしを楽しんでいる気がする。
森下所長にそう言ったら、「クラシヲさんがネコ共生型賃貸住宅necoto[ネコト]をプロデュースしてますが、僕はひそかにusagito[ウサギト]をやろうと企んでたんですよ」と言い、不敵にニヤッと笑った。
その顔には「自信アリ!」と書いてあった。
どんな研究レポートを書いてくれるか、とても楽しみだ。
文責:久保田大介
イラスト:コミック堂