《 ワクワク賃貸妄想中 》Vol.049

憧れのコウハウジング 連載第4回:コウハウジングの居住者同士の距離感

投稿日:2025年12月22日 更新日:

シェアハウス、コレクティブハウスとコウハウジングとの違い

ひとつ屋根の下でともに暮らし、共用のリビングや水回り(浴室、シャワールーム、洗面台、洗濯機置き場など)は同じ建物内にあるのがシェアハウス、水回りは個別にあるのがコレクティブハウスですが、コウハウジングはコモンハウスの周囲に居住者さんたちの家がある点が異なるということを、これまで3回にわたってお伝えしてきました。
一般的なコウハウジングは中心にコモンハウスがあって、その周りを居住者さんたちの家が囲んでいて、居住者さんたちはそれぞれの家で暮らしつつ、コモンハウスで一緒に食事をしたり、趣味を楽しんだりして、同じ時を共有します。
シェアハウスやコレクティブハウスは同じ建物内にリビングなどのコモンスペースがあるため、生活する上で他の居住者さんたちとは必然的に顔を合わせることになります。
それに対しコウハウジングは、自分の家の中で生活は完結させることができるので、気が向かなければコモンハウスに行く必要はありません。ひとりになりたい時(あるいは自分の家族とだけ一緒にいたい時)は自分の家にいればいい。そんな自由度があるところに私は惹かれています。

人との距離感の好みは人ぞれぞれ

人とどの程度の距離で付き合いたいかは人それぞれ

ところが私はもう少しワガママで、実はコモンハウスの周りにも住んでいたくないと思っているのです。
いわゆる「スープが冷めない距離」にコウハウジングの居住者さんたちがいるわけですが、コモンハウスで食事会のようなものをしたり、何となく飲み会が始まったりなどしたら、たぶん「こっちに来ませんか?」とお誘いが来ますよね。それは私にはちょっと面倒くさい。積極的に参加したい気分の時もあるでしょうが、ひとりで静かにいたい時もあり、その時に声をかけられたら本当は断りたいのだけれど、断れば和を乱す気がしてしまうので、渋々参加することになる。
参加すれば参加したできっと楽しいのだと思いますが、でもひとりでいたかった気分は損なわれてしまうことになり、そのモヤモヤは意外に引きずってしまいそうな気がするのです。「今はひとりでいたいからパス」と気軽に言える間柄だったり、性格だったりすればいいのだろうけど、ちょっとハードルが高い気がします。
人と人との距離感はどの程度が望ましいか、好みは人それぞれです。ずっとそばに誰かいてほしい人もいれば、常に一定の距離を保ちたい人もいる。人と何時間も一緒にいたい人もいれば、1時間も一緒にいたらもう十分満足という人もいる。
自分にとって適度な距離感をキープしつつ、コウハウジングという暮らし方を実現させたいというのが、私の理想であり憧れです。
私の好みの距離感は「スープが少し冷めてしまうぐらいの距離」です。

理想とするコウハウジングのスタイル

東郊住宅社が運営するトーコーキッチン

そこで私が考えたのは、“コモンハウスの周囲に家があると決まっていない” コウハウジングです。
ともにコウハウジングを営んでいることには違いないのだけれど、ある人はコモンハウスのすぐ近くに住み、ある人は5分ぐらいの距離の家に住み、ある人は自転車で行くぐらいの距離の家で暮らす。
コモンハウスでみんなが集まっているときはいつだって一緒にいたいという人は近くに住み、誰かと一緒にいたくてたまらないときだけ参加したい人は、ちょっと離れた家を選ぶ。そんなコウハウジングがあったらいいなと思うのです。

「ワクワク賃貸物件集」Vol.012でご紹介した「トーコーキッチン」は、トーコーキッチンをコモンハウスと見立てたら、私の理想のコウハウジングにかなり近いです。
トーコーキッチンはJR横浜線「淵野辺」駅に本社を構え、不動産業を営んでいる東郊住宅社が運営しているレストランで、朝は100円、昼・夜は500円で栄養豊富なメニューの食事を楽しむことができます。ただし、このレストランを利用できるのは東郊住宅社の管理する賃貸物件の居住者さんに原則限られています。賃貸物件はトーコーキッチンのすぐ近くにもあれば、だいぶ離れたところにもあります。そして毎日3食、トーコーキッチンで食事をするという人もいれば、週末だけ家族で訪れるという家庭もあります。
東郊住宅社さんの管理物件はとても多いので、入居者さん同士がすべて顔見知りということはないと思いますが、コウハウジングであれば居住者の数はだいぶ限定されると思うので、居住者同士は顔見知りというのがトーコーキッチンとの違いです。
居住者同士がただおしゃべりをするだけでなく、連載第2回で書きましたように病気やケガをして困っているときはお互い助け合うなど、もう一歩密な間柄でありたいので、コウハウジングの居住者は多すぎるのは考え物です。
密な間柄でありつつ、日ごろの距離感は自分の好みのものとできる。それが私の理想とするコウハウジングのスタイルです。

次回は私の理想とするコウハウジングにかなり近い事例をご紹介したいと思います。
連載はあと2回で終了です。

文:久保田大介

イラスト:コミック堂

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久保田 大介

『ワクワク賃貸®』編集長。有限会社PM工房社・代表取締役。 個性的なコンセプトを持った賃貸物件の新築やリノベーションのコンサルティングを柱に事業を展開している。 2018年1月より本ウェブマガジンの発行を開始。 夢はオーナーさん、入居者さん、管理会社のスタッフさんたちがしあわせな気持ちで関わっていけるコンセプト賃貸を日本中にたくさん誕生させていくこと。

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