一人でできないDIYを、いろいろな方法でサポートしてくれる人がいる
皆様こんにちは! DIY賃貸推進プロジェクト、特派員の伊部尚子と申します。
賃貸住宅の管理会社に長年勤務しており、住まい手がDIYできる賃貸住宅を増やす取り組みをしています。
普段生活していて不便を感じる部分があると、この悩みはDIYで解決できるのでは?といつも考えてしまいますが、「さすがにこれは、自分一人では無理!」というDIYもありますよね。今回はそんなときに力になってくれる、頼もしい存在のことを取り上げてみたいと思います。
キッチンの壁にマグネットボードを取り付けたい
毎日使うキッチンや洗面所、もっと使い勝手を良くしたい、収納を増やしたい。でも、スペースが狭いし、ラックなどを増やすと掃除が面倒…と悩んでいる人は多いと思います。そんなときにオススメなのが、壁面にマグネットボードを取り付ける方法です。
最近はマグネット付きのラック類が豊富に発売されていますが、残念ながらマグネットがくっつく場所は限られています。それならば、壁の方にマグネットボードを取り付けてしまえば良いのでは?
そう考えて自分の家の水回りを見てみると、「ここにマグネットボードがあれば便利だな~」という壁があるのですが、市販のマグネットボードはピッタリサイズのものがなかなか見つかりません。そういうときに便利なのが、DIYをサポートしてくれる専門家の方の存在です!
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自宅のキッチン。この壁にマグネットボードを取り付けたら便利そう!
大きな建材をカットして郵送してもらう
私がマグネットボードを貼りたい場所は、キッチンのIHクッキングヒーターの脇の壁です。私の家の場合、この場所は内装制限がありませんでしたが、IHクッキングヒーターの熱による間接的な着火も考えられるため、マグネットボードは不燃材料にしたいと考えました。内装制限については以前の記事を参考にして下さい。
不燃材料のマグネットボードを探したところ、キッチンパネルに使われるものが数種類出てきました。その中から、工事業者ではない個人が直接購入できるサンワカンパニーさんの不燃マグボードを購入したいと考えました。
しかし、こういうものは一般的にプロの職人さんが現場でカットするのが当たり前なのでとにかく材料が大きくて、1枚の大きさが910mm×2420mm! でかい!! そして、そもそもカットするための電動工具も持っていません。でも何とかしてこれを使ってDIYしたい! 諦めたくない!
考えた末、DIYサポートをお仕事にされている合同会社クラディの石井麻紀子さんに相談してみることにしました。石井さんは、「ワク賃023」の1FにDIYスタジオを構えていて、入居者さんのDIYサポートをしてくださっている方です。
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石井麻紀子さんは、DIYサポートを仕事にしたくて会社員からホームセンターに転職し、独立したという経歴の持ち主。
私:「キッチンパネルを壁に貼りたいのですが、私が注文したパネルの送付先を石井さんのDIYスタジオに指定して、受け取ってもらって、サイズカットしてもらって、私の自宅に送ってもらうなんてことは…できますか?」
石井さん:「はい、できますよ!」
私:「ええっ! できるんですか?!」
石井さん:「材料の大きさや作業の手間で金額は変わりますが、可能です。練馬区のスタジオでDIY指導もやっていますし、DIYの出張サポートもやっています。遠方の方からは、メールやLINEやビデオ通話を使ってのDIYサポートもご要望がありますよ。」
私:「わ~っ、是非お願いします!」
そんなわけで今回は、キッチンパネルの受け取り、カット、自宅へ郵送、Facebook MessengerでのDIY相談を、有料でお願いすることにしました。
クラディのスタジオでキッチンパネルをカットしてもらう
キッチンパネルをどんなサイズにカットして欲しいのかを石井さんにお伝えするために、設置したい壁の部分をメジャーで測って、図にしてみました。図にしてみると自分でもわかりやすくなるので、私はやる前にかならず書いています。
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見切り材を何本購入するべきかも、図にするとわかりやすいです。
早速サンワカンパニーさんのサイトで不燃マグボードと見切り材を注文。マグボードの郵送先を石井さんのDIYスタジオにし、配達日を石井さんがいる日にちで指定しました。
そして、「無事受け取りましたよ」と石井さんから連絡が!
ここからは、石井さんから送られてきた報告用の写真でご説明します。届いたマグボードはこんな感じ。大きいですね~。
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不燃マグボード。長さは約2.5メートル! 自宅に届けるのはとても無理です…
そして、私が指定したサイズに印をつけて…。
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ぴったりサイズに印をつけるのは素人にはなかなか難しいもの。
カットに使ったのはこちらの丸ノコだそう。今回カットするのは一般的なキッチンパネルではなくマグネットボードなので、中に鋼板が入っています。そのため、金属が切断できる丸ノコ刃を使用してくださいました。
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これを自分一人で使うのは。なかなかハードル高いですね。
そしていよいよカットです。電動工具を難なく使いこなす石井さん、かっこいい! カット時に発生する浮遊粉じんから眼を守るため、防じんメガネをされているそう。まっすぐ上から刃を見ながら切り進めている様子がわかりますね。
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DIYには高価な材料を自分でカットして失敗したら困るので、カットサービスは本当に助かります。
カット完了です!! 正方形ではないので、サイズが分かるように表示をしてくださるなど細かな配慮がとても助かります。余った材料も別の場所で使おうと思ったので、一緒に送っていただけるようにお願いしました。
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指定のサイズにきれいにカットされたボードたち。
マグボードを貼る壁の壁紙を剥がす
さて、石井さんがマグボードを私の自宅に送ってくれる間に、マグボードを貼る部分の壁の準備も進めていきます。まずは、マグボードを貼る場所のサイズを図り、印をつけて、その分の壁紙を剥がしていきます。
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べろーん、と気持ち良く剥がれました。 剥がした壁紙はどこかで補修が必要になったときのために取っておくことにしました。
剥がした状態はこんな感じです。この大きさに不燃マグボードを貼る予定です。
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ここにマグネットがつくととても便利になる予感。
まだ裏紙が残っているので、剥がしていきます。スポンジに水を含ませたり、霧吹きを使ったりして裏紙を湿らせてしばらく待つと、裏紙が浮いてきます。
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霧吹きがなかったので、化粧品が入っていたスプレーボトルを代用。
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しばらく待つと裏紙が浮いて、しわになってきます。
浮いた部分から剥がしてみると、なんと裏紙が2枚ありました。以前壁紙を貼り替えたときに、職人さんが裏紙を残したのでしょう。前の壁紙の裏紙の上に、今の壁紙の裏紙が重なっていた状態です。マグボードをしっかり密着させるために、裏紙を2枚とも剥がしていきます。
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浮いた部分から剥がすと、裏紙が2枚あることを発見!
ここはコンクリート壁なのですが、裏紙まで全部剥がしてみると、なぜかきれいな水色のコンクリートが出てきました。以前コンクリート壁の上に壁紙を貼った際に、パテで下地処理がされていたようです。石井さんに聞いたら、パテは剥がさなくて良いとのことでしたので、途中でストップしました。
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右上、パテを裏紙と勘違いして削り取ってしまい、コンクリートが見えてしまいました。 パテの下に何やら職人さんの書いた文字が見えます。
裏紙をきれいに剥がすのは大変で、あちこちに微妙に残ってしまっています。石井さんオススメのスクレーパーを買ったら、これがものすごく便利でした。力を入れなくても裏紙の残った屑がスーッと剥がれます。道具って本当に大事! そして、それを教えてくれる専門家はもっと大事!
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カッターでおなじみのオルファが出しているスクレーパー、T-45。使い心地抜群!
下地を整えるためのパテ打ちとシーラー塗り
裏紙をきれいに剥がしたら、パテを塗っていきます。パテ板が汚れないように養生テープを貼ると後片付けが楽なのですが、ビニールテープがなくて代わりにガムテープを貼ったら、剥がし跡が残ってむしろ大変になってしまいました。なんて愚かな私…。
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パテ板とパテベラ。皆さんはガムテープを貼らないように!
なるべく平滑になるように、パテベラをしならせながら塗っていきます。 石井さんから「パテは通常2~3回塗りますが、今回は前のパテが残っているので、あまり凹凸がない場合は上塗パテを1回塗れば大丈夫かもしれません」と教えてもらいました。
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上塗りパテを塗っていきます。
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全部塗り終わったところ。
パテが乾いたら、紙やすりで表面を平らに仕上げます。専用のホルダーもありますが、ない場合は角材のようなものに巻いて、接地面が平らになるようにしてやすっていきます。
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空研ぎペーパーがおすすめと石井さんが教えてくれましたが、なかったので紙やすりを使いました。
紙やすりをかけたあとの壁は、手触りがツルツルになりました。お次はシーラーを塗っていきます。これも石井さんに教えてもらったのですが、シーラーは下地の内部に浸透して吸水調整をしてくれます。吸水調整をしておかないと接着剤の水分が失われ、接着能力が低下する場合もあって、パネルが落下してしまうことにもつながりかねないそうです。「このひと手間で大違い」とのこと。なるほど~。
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ヤヨイ化学のシーアップを規定の量に水で薄めて使います。
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ローラーでしっかり塗って、乾かします。
いよいよマグネットボードを壁に貼る!
さて、石井さんのDIYスタジオから不燃マグボードが到着しました! 壁に貼る形に床に並べてみます。見切り材、目地材もサイズに合わせてカットしました。
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見切り材は右側と下側に、中央の突き合わせ部分には目地用のものを取り付けます。
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見切り材はプラスチックのものもありますが、今回はアルミ製のものを購入したので金ノコを使ってカットしました。
マグボードを裏返して、キッチンパネルテープと呼ばれる両面テープを貼り付けていきます。これは専用の商品が売っています。このテープでマグボードを貼るわけではなく、この後つける接着剤がしっかり固まるまで、壁とパネルを固定する仮留めの役割を果たします。
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キッチンパネルテープは、キッチンパネル用接着剤と併用します。
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周囲にも接着剤をぐるりと塗るため、スペースを3cmくらい開けて貼ります。最後少し足りなくなってしまいました…。
中央の目地と、下の見切りを先にマグボードに取り付けて行きます。
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見切り材はこんな形です。
見切り材の中にコーキング材を充填して行きます。
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はみ出そう…。
キッチンパネルは施工中の傷防止のために、表面が薄いビニールで養生されています。見切り材を付ける前にこのビニールを少し剥がしておくと、見切り材にビニールが挟まれないので剥がすときに楽です。
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見切り材の幅分、ビニールを剥がしていきます。
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見切り材を取り付けたところ。これがあるとボードの端っこの収まりがきれいです。
準備ができたので、マグボードの裏側にキッチンパネル用接着剤を塗っていきます。カートリッジに入っている接着剤をコーキングガンに取り付けて使います。
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黒いのがコーキングガン。レバーを引くと先端から接着剤やコーキング材が出る仕組み。
周辺は囲むように、内部は波型に塗っていきます。
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接着剤を塗ったところ。
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接着剤を塗った後スムーズにキッチンパネルテープの剥離紙を剥がせるよう、角を折っておくのがコツ!
マグボードはかなり重かったので、夫に下を支えてもらって壁に貼り付けました。キッチンパネル用接着剤はかなり強力なので、ずれて貼ってしまうと動かすのは至難の業ですので、慎重に場所を合わせて貼り付けます。
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真ん中の目地材、右側の見切り材も取り付け、完成!
周りへコーキング打ち
マグボードの周囲をマスキングテープで養生し、シリコンコーキングを打っていきます。壁にキッチンパネルを貼るときは、周囲に2~3mmほど隙間を開ける必要があります。隙間なく施工すると地震などで割れや欠けの原因になる可能性があるためです。
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コーキングガンを使ってシリコンコーキングを打っていきます。
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コーキングヘラで撫でて均していきます。
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一通りコーキングを充填し終えたらマスキングテープを剥がします。固まりすぎてからだと失敗の原因になります。
マスキングテープを全て剥がし、養生のビニールを剥がしたら、不燃マグボード貼りは完成です! ボンドが完全に乾くまで、1日程度かかります。
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なかなかの大作です!
まる1日乾かしてからマグネットラックを取り付けてみました。キッチン周辺がとてもスッキリしました。以前はこの場所にキャスター付きの棚が置いてありましたが、引き出しを開けるときにぶつかったり、床の掃除がしにくいという不満がありました。マグネットラックにしてからは収納量も増え、掃除も楽で言うことなしです。
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思った以上に使えるマグネットボード、すっかりお気に入りです。
余ったマグボードの行方は・・・?
そして、余ったマグボードはどうしたかというと、洗面所に使ったのです。これがまた大正解!
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タオル掛けの位置が微妙なため、二つ折りにしないとタオルが掛けられず、しかもラックにぶつかって斜めに。
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タオル掛けの位置を移動して、マグボードを貼る場所の壁紙を剥がしました。
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収納力抜群の水回りに変身!
マグボードのおかげで洗面所の脇にラックを置かなくて良くなり、石鹸やコップが宙に浮いたため、掃除がものすごく楽チンになりました。毎日使う水回りの掃除が楽なのは本当に快適です!
ちなみにここでも石井さんに裏技を教えてもらいました。私はコーキングが苦手で、なかなかきれいにできなかったのですが、「台所用洗剤を指につけて撫でるとくっつかずにきれいに均せますよ」と教えてもらい、やってみたらすごくきれいにできました。コーキングヘラよりずっと上手にできたので感動しました。
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素手だと手荒れの原因になるので手袋をしたほうが良さそうですが、指の感触そのままの方が力加減しやすい。均したあと早めに洗いました。
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台所洗剤を使うというのは良い方法でした。石井さんは何でも知っていて尊敬!
今回のマグネットボード貼りは、自分一人ではとてもできませんでしたが、石井さんに材料をカットしてもらい、施工に関していろいろアドバイスをもらえたことで、スムーズに望みのものを作ることができました。 このようなカットサービスやメール等による施工相談は本来のDIYサポートメニューには載っていないのですが、裏メニューとして相談ができるとのことなので、お願いしてみたい方はクラディのホームページの相談フォームからご相談してみて下さい。皆さんのDIYの可能性が広がること間違いなしです!
文:伊部尚子