「DIY賃貸推進プロジェクト」の取材などを通じ、これまでDIYでお部屋を自分好みの内装に変えられた方にお会いしてきましたが、そのうちにあることに気がつきました。
それは「DIYをしたい」という方もたくさんいるけれど、「自分好みの内装の部屋で暮らしたい」という願望さえ叶えられれば、その手段はDIYでなくても構わないという方も一定数いるということです。
もちろんDIYのほうがコストは安上がりですが、腕に覚えがなければ容易には踏み込めない。そして大家さんにとっても、入居者さんの技術力がどれほどのものかわからないから「DIY歓迎」とは気軽に言えない。お互いがそんな感じだから、「内装を自由にアレンジしたい!」という入居者さんと、「プロに依頼するのであれば内装を自由に変えてもいいですよ」という大家さんが出会えないでいるのではないか?と思うようになりました。
しかし、多少費用を出しても、自分でインテリアデザインをした部屋に暮らしたい方はいるはずです。
一方で、築古物件なら「どうぞご自由に」という物件はあるけれど、新築や築浅となると極めて少ないので、内装を自由にアレンジできる新築マンションをつくったら人気になるんじゃないだろうか?とも考えていました。
その思いを強くしたのはVol.037で紹介した「暗い部屋」をつくったときです。
このときは、「会社登記もOK」というSOHO利用歓迎物件(築5年)の1室を「暗い部屋」にリノベーションしたのですが、完成前にイメージパースを使って広報しただけで、クリエイターや弁護士さん、税理士さんからの内見依頼が集中したのです。
「暗い部屋」が好きだという人はかなりいるのに、暗さを売りにした内装の賃貸物件はとても少なく、言葉は悪いけれど「暗い部屋に飢えておられる」のだと感じました。そしてまた、在宅で仕事をしたい方は、自分好みの内装の部屋を強く望んでいるのではないかとも思ったのです。
ちょうどその折に新築の企画を進めていたのが、東京・秋葉原のマンションです。
鉄筋コンクリート造9階建てのマンションで、建物名称は「テトスパジオ」といい、もう間もなく(2023年1月末)完成する予定ですが、このテトスパジオは「職住一体型賃貸マンション」をコンセプトとしていて、会社登記やスタッフ勤務もOKとしています。
働きながら暮らしたい方を対象に考えているため、屋上にはラウンジを設け、ミーティングや応接、休憩スペースとして自由に使うことができるようにしています。 また1Fには女性専用トイレを設け、女性スタッフが勤務しやすいよう工夫しました。
屋上ラウンジに行かずとも休憩できるよう、バルコニーも少し広めにつくっています。
プランターを並べ、ガーデニングをしていただくのにもちょうどよさそうです。
このテトスパジオに「内装を自由にアレンジできる」というセールスポイントを加えたらどうか?と思いつきました。
住まいとは言え、“働く場所”でもあるから、気分よく働けるよう、好きな内装にしたいというニーズはきっとあるはず。
この“実験”とも言える提案を施主さんにぶつけてみたら、何と即座に快諾してくれました。新築マンションのできたてほやほやの部屋の内装を変えられることを、普通の大家さんは嫌がるので、異例中の異例だと思います。
私がオーナーに提案し、快諾いただけたサービスプランの内容は次の通りです。
[内装アレンジの可能範囲]
- 天井、壁のクロス張替え又はペンキ塗装
- 床のフローリング・フロアタイルの張替え又は上張り
- 建具へのダイノックシート張り
- 棚の設置
その他、要望いただいた事項は前向きに検討。
[内装変更サービスプランの内容]
- 内装工事業者の紹介
ご自身で内装工事業者さんを決めていただくことも可能だが、心当たりがないという方のために内装工事業者を紹介する。中間マージンは一切なしで、原価で工事を依頼できる。 - 15日間フリーレント
内装デザインの検討や工事に日数がかかることを考慮し、15日間フリーレントをつける。 - 内装費用10万円プレゼント
クロスやペンキ代などに充当していただくため、礼金を10万円減額する。
[内装変更サービスプランの進め方]
- 入居申込みをいただき、入居審査が終わったら、すぐに内装デザインにとりかかっていただく。 要望があれば内装工事業者を紹介し、お引き合わせする。
- 契約後、15日間のフリーレント期間などを利用しながら、ご自身のペースで内装工事を行っていただく。
このプランをお聞きになって、「そうは言ってもどこまでアレンジできるのだろう?」と思われた方も少なくないと思います。
そこで参考までに、私が考えた内装アレンジ事例をご紹介します。
[ブルックリンスタイル]
床はブラウン系の落ち着いたフロアタイルを上張りします。
クロスはレンガ調やグレー系のものを張り分けます。
ワーク用のデスクやソファーなども黒やブラウンを基調に選定してみました。
[アジアンテイスト]
バリやプーケットなどアジアのリゾート地にあるホテルやヴィラをイメージしました。 自然のなかにいるような雰囲気を演出するため、クロスや床はウッディな感じのものに張り替えます。 テーブルや本棚、照明器具も木製のアンティーク調のものを選びました。
ここまでの話を聞いて、関心を持ってくださった方には是非ご内見いただきたいと思います。
テトスパジオの住所は東京都台東区浅草橋4-7-2。
JR総武線「浅草橋」駅から徒歩4分、JR山手線・東京メトロ日比谷線など複数路線が使えるターミナル駅「秋葉原」駅からは徒歩7分という立地です。
専有面積は44.00㎡で間取りは1LDK。
賃料は212,000円~222,000円(ほかに共益費8,000円)となっています。
テトスパジオという名称は、イタリア語で「屋上」を意味する「テト」と、「空間」を意味する「スパジオ」を足した造語です。
屋上ラウンジを利用できることと、お部屋=空間を自由にアレンジできることをお伝えしたく、命名しました。
完成は1月末ですが、すでに内見受付を開始しているので、「一度見てみたい!」と思われましたら、お問い合わせページからご連絡ください。
文:久保田大介