2020年春から猛威を振るい始めた新型コロナウイルスは、次々と変異株があらわれ、今なお感染拡大の防止に努める日々が続いています。賃貸住宅市場もリモートワーク中心となった方が多くなったこともあり、都心部の単身者向け物件に空きが非常に目立つようになるなど、大いに影響を受けました。住まいに求めるものが大きく変わりつつあることを肌で感じた1年でした。
さて今回はこの1年間(※2020年12月1日~2021年11月30日)でページビュー(PV)数の多かった記事のトップ10をご報告します。
ワンポイント解説も付けて紹介いたしますので、関心のある記事がありましたら、タイトルをクリックし、じっくりご覧いただけましたら幸いです。
では10位から4位の記事まで一気に発表します。
第10位は、「DIY賃貸推進プロジェクト」Vol.015の記事がランクインしました。
「DIY賃貸推進プロジェクト」は入居者さんたちがDIYで自分好みの部屋に改装できる賃貸住宅を増やしていこうという目標のもと、管理会社に勤務する伊部尚子さんに連載していただいているコーナーです。
連載記事では大家さんや管理会社への交渉方法や法律的な問題をわかりやすく解説したり、伊部さん自身が自宅等で行ったDIYをご紹介したりしています。
Vol.015は大きな木材(ここでは有孔ボード)を使ってDIYをしたいとき、自宅で切断することが難しいので、サイズを指定し切ってもらったうえで納品してくださる会社さんをご紹介しました。実際に自分でやってみて気がついたこと、わかったことなどもレポートされているので、多くの読者に共感いただけたようです。
第9位も「DIY賃貸推進プロジェクト」Vol.004の記事が入りました。
こちらは築古戸建てを購入しセルフリノベーションして賃貸することを得意にしている大家さん(通称:カティさん)から、DIYのコツを教えていただくという内容です。
カティさんがご夫婦でリノベーションをし終えたばかりの家を訪ね、実例を拝見しながらノウハウを学ばせていただきました。
カティさんからは「やるところとやらないところのメリハリをつけるのがお勧め」というお言葉を頂戴しましたが、その考えがよく表れている素敵なリノベーション事例でした。
第8位も「DIY賃貸推進プロジェクト」からVol.008の記事がランクイン。「ワクワク賃貸」は「DIY賃貸推進プロジェクト」にまるでジャックされているかのような勢いです(笑)。
賃貸住宅は多額の原状回復工事代を請求されるのを恐れ、画鋲を刺すことすらためらう方が多い中で、Vol.008は「壁に穴を開ける」という切り口で伊部さんは執筆されました。その斬新さから多くの読者に読んでいただけたのではないかと思います。
単に壁に穴を開けることを承諾してもらう方法が伝授されているのでなく、穴を開けてはいけない壁があることを知り、それをどうしたら調べることができるのかをお伝えしています。
DIYは大家さんや管理会社にナイショでこそこそやるのでなく、きちんと承認をもらって堂々と行ってもらいたい。そのためにはまず正しい知識を身につけることが必要です。DIYで自分の暮らしやすい家をつくりたい方には、この連載で伊部さんが伝えようとしていることを感じ取っていただきたいです。
第7位は「世界のワクワク住宅」でご紹介した「レゴハウス」の記事が入りました。
「世界のワクワク住宅」は世界中にある面白い住まいをご紹介するコーナーで、普通の住宅ばかりでなくホテルや建材なども取り上げています。
レゴハウスは3年連続のランクインで、長いことご愛読いただいている記事となっています。レゴブロックを使って本物の家を建ててしまうという企画自体も魅力的なのでしょうね。レゴハウスの建築(?)に参加された方たちが本当にうらやましいです。私も参加してみたかった~!
第6位は「ワクワク賃貸物件集」から、共用部にゴルフ練習施設がたくさんある物件が昨年に続いてランクインしました。
この物件は昨年、空き待ち登録をされた方が一人、実際に入居されましたが、今年もご夫婦でゴルフを楽しんでいるという方が新たにご契約されました。
「ワクワク賃貸物件集」に掲載されている物件はオーナーさんや管理会社さんに定期的に空き確認をしていて、空室が出たという情報をいただけたら、すぐに空き待ち登録者にお知らせしています。
登録くださっている方がちょうど引っ越しできるタイミングであれば、実際にご覧いただき契約するかどうか決めていただいています。
この物件は2年連続で空き待ち登録のシステムが効果を発揮したことをとても嬉しく思っています。
第5位は「世界のワクワク住宅」から「ハイジの家」が、これまた昨年に続きランクインしました。
「世界のワクワク住宅」では、ほかに「赤毛のアンの家」 「ムーミンハウス」などアニメや小説の世界に登場した家を紹介していますが、ファンはリアルに再現されている家を見ると、また昔のワクワクした気持ちがよみがえってくるのでしょう。ハイジの家は干し草のベッドまで再現されていて、どれだけフカフカしているのか私も体験してみたくてたまりません。
第4位はまた「DIY賃貸推進プロジェクト」からVol.002の記事がランクインしました。
賃貸でDIYを堂々と行うためには大家さんや管理会社の承諾を得ることが必要なのはわかるけれど、でもどうやったら承諾してもらえるのか見当もつかない、という方にとって、大家さん・管理会社が何を考えているのか知れば対策も打ちやすかろうということで企画された記事です。
「敵を知り己を知らば百戦殆(あや)うからず」と言いますが、後編と合わせて読むことで交渉相手のことを把握いただき、たくさんの方にDIYで好きな部屋をつくっていってもらいたいです。
続いてトップ3の記事を発表します。
「ワクワク賃貸」では2018年1月から2021年11月末までの間に220本の記事を配信してまいりました。どの記事もページビュー(PV)が絶えないことを本当にありがたく思っています。その220本のなかで今年最も多く読まれた3つの記事をご紹介します。
2021年人気記事ランキングの第3位は、「ワクワク賃貸妄想中」から「TINYHOUSE FESTIVAL 2019」のレポート記事が選ばれました。昨年1位のPV数をいただいた記事が2年連続してトップ3入りを果たしました。
「タイニーハウス」という言葉でGoogle検索をすると、この記事が5位前後に出てきているようで、そのことも嬉しく思っています。
「タイニーハウスを活用した新しいライフスタイル」、「生活に必要な設備が整ったタイニーハウス」、「お手軽な庭での小屋ライフ」、「ビジネスシーンでも活躍を見せるタイニーハウス」、「各地で増加中の“移動できるショップ”型タイニーハウス」という5つの切り口から13のタイニーハウスを紹介しているのがご好評いただけている理由なのかなと思っています。
第2位はまたまた「DIY賃貸推進プロジェクト」からVol.011の記事が入りました。
DIYで菓子製造業許可を得た賃貸住宅をつくったというエピソードを紹介した記事ですが、この記事をご覧になって、「私も菓子製造できる賃貸住宅を探しています」と連絡くださった方がたくさんおられました。今年はその中でお二人の方の家探しをお手伝いさせていただきました。
私も役所や保健所に数回行き、菓子製造の許可を得るにはどうしたらいいかをリサーチし、調査に同行いただいた森下智樹さんに「ワクワク賃貸研究所」Vol.013でレポートしてもらいました。このテーマに関心がある方は合わせて読んでいただきたいです。
そして2021年度、最も多くの方に読んでいただけたのは「DIY賃貸推進プロジェクト」Vo.013の記事でした。ランキング10位中に6本もランクインした「DIY賃貸推進プロジェクト」ですが、その中で一番読まれたのが「壁に正しく穴を開ける方法を学ぼう!」で、8位に選ばれたVol.008と同じく「壁に穴」問題を取り上げた記事です。Vol.008が穴を開けてもよい壁、ダメな壁の見分けを説明したのに対し、Vol.013は正しく穴を開ける方法をお伝えする内容で、セットで読んでくださった方がたくさんおられたのだと思います。
伊部さんの記事を読んでいると、「昔の賃貸住宅は画鋲を刺すのもためらわれたものだよ」と笑って話せる日が来る気がしてきます。しかし、ご存じない方も多いかと思いますが、戦前ぐらいまでは借主が家を改築することは珍しいことではなかったのです。ただそのやり方や後始末のことでトラブルが続出し、どんどんと規制が厳しくなり、画鋲すら刺すことができなくなってしまったのだと思います。その愚を繰り返さないためにも、正しい知識を身につけ、トラブルを未然に防ぐことが大切です。この連載がその役に立てば幸いです。
2021年のトップ10は「DIY賃貸推進プロジェクト」から6記事がランクインするという結果になりましたが、これは連載を担当している伊部さんの熱意が多くの方に共感いただけたからだと思う一方、コロナ禍のなか、家で過ごす時間が増え、「住まい」の大切さをあらためて実感した方が多かったからではないかとも思っています。
昔は「家を自分の好きなようにしたいのならば自宅を購入しなければならない」と思われていましたが、所有の時代からシェアの時代へと移り変わり、「賃貸住宅でも自分の好きな家にしたい」と願う方が増えてきました。
我々賃貸住宅に関わる者たちは、こうしたニーズに応えるべく、固定観念を拭い去り、柔軟にそして前向きに仕事に取り組んでいくべきだと思っています。
「ワクワク賃貸」では今年、空き待ち登録をしてくださった方のうち9人の方にご希望の家とマッチングさせていただくことができました。「たったの9人?」と思われるかもしれませんが、過去3年でお二人だったことを思うと、編集部としてはかなり満足しています。
来年はさらに多くの読者の方が希望の家で暮らし始めることができるよう応援してまいりたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
文:久保田大介