《 ワクワク賃貸妄想中 》Vol.019

理想のお部屋を探すには、良い仲介業者さんとの出会いが大切です

投稿日:2019年6月27日 更新日:

苦労した仲介業務の思い出

私は不動産コンサルティングや賃貸管理をメインにしているため、普段は賃貸仲介の仕事をしていないのですが、管理している物件のオーナーさんや親しい友人・知人に「是非に!」と頼まれ、何度かお部屋探しのお手伝いをしたことがあります。

そういう場合は「商売」というより「顧客サービスの一環」というつもりで行っているので、業務効率など一切気にせず親身に対応していますが、それでも音を上げてしまいそうになったことがありました。

それは20年近く前、父がお世話になっている方のお嬢さんのお部屋を探したときのことだったのですが、その方はお抱えの風水師もいるほど風水に凝っておられて、非常に細かく風水上の注文をつけてこられたのです。

まずは立地で、渋谷駅から東南に向かって15度の角度の範囲内にあり、渋谷まで20分圏内であることという注文がありました。

部屋のほうも、キッチン、トイレ、浴室、寝室の方位などが全て細かく指定されました。

それだけでも十分厳しかったのですが、おまけに「小型犬を飼えること」まで条件にあったからもう大変。

当時、「ペット可」という物件は今のように多くはなかったのです。

実際、部屋探しを始めてみると、渋谷駅を拠点にした方角は広尾や白金あたりが条件にあてはまり、その中で部屋のほうも風水の条件を満たしていたのは6物件ほどありました。

しかし「ペット可」と募集図面に書いてあるものはひとつもなく、6物件の管理会社に交渉し、何とか2件、「気に入っていただけたらオーナーさんに相談してみます」と言っていただくことができました(かなり粘りました)。

その2件は、ともにお客様の予算をオーバーしていたのだけれど、

「何日も探しましたが、条件を全て満たすのはこの2件だけです。あとは風水をあきらめていただくか、ワンちゃんを飼うのをやめていただくか、どちらかしかありません」

と言うと、その方はさらりと、

「家賃はあまり気にしてません。目安で言ってただけなので」

と答えられ、両方見てくださり、結局、家賃が高いほうの物件を選ばれました。

かなりストレスを感じていたので、心底ホッとしたことを覚えています。

少し話が横道にそれますが、紹介した2件のマンションのうち、ひとつは超大物女優の隣室、もうひとつは世界的に著名な経営者のご自宅の隣りに建つマンションでした。

ああ、そういう大物たちも風水でこの地を選んだのだろうなあと妙に感心し、その後、風水の勉強をしてみる気になりました。

これまで何冊か風水の本を読みましたが、トップに掲載した写真の右側の本、『最後の風水学』(鮑黎明著)は中でも秀逸でした。

多くの本は家相学をもとに考案されたものが書かれているようで、中国、香港、台湾などの富裕層がよりどころにしている風水とは似て非なるものだということがよくわかりました。

すでに絶版になってしまっているようですが、アマゾンで調べたら中古本は売っているようなので、本物の風水を比較的手軽に学んでみたい方にはぜひ一度手に取っていただきたい良書です。

風水はひとりひとり吉方、凶方が異なるのですが、それらをかなり容易に知る方法が会得できます。

 

理想のお部屋探しに良い仲介業者さんの存在は大事です

さて、はじめにこの思い出話をしたのにはわけがあります。

どんなわけかと言うと、自分の理想とするお部屋を本気で探そうとしたら、自力で探すのはかなり難しく、良い仲介業者さんに依頼する必要があるだろうということをお伝えしたかったのです。

SUUMOやHOME‘Sなどのポータルサイトをつぶさに見ることで、理想の部屋に出会える可能性はもちろんありますが、不動産会社はすべての物件情報をポータルサイトに載せているわけではありません。

また、掲載されていたとしても、検索して条件を満たしている物件を探し出すのは、実はとても難しいのです。

たとえば先に書いた事例で言うと、風水の条件を全部満たしていたのは6室ほどあったが、「ペット可」と書いてある物件はひとつもなくて、管理会社に交渉したと言いました。

この交渉を一般の方が不動産会社にするのはなかなか骨だと思います。

はじめに自分の個人情報を訊かれることが多く、質問のあとは「追客」されますから、気軽に電話はしづらいでしょう。

自分の代わりにプロの仲介業者さんが不動産会社に質問してくれると助かります。

ほかにも理由はいくつかありますが、優れた仲介業者さんを味方につけると、理想のお部屋を探し出せる可能性は一気に高まります。

ところで私は、優秀な仲介業者ではありません。

なぜなら関係の深いお客様から特別に頼まれたから何日も物件探しに費やしましたが、これが日常業務となり、すべてのお客様に自分が同じサービスを提供できるとはとても思えないからです。

仲介業を専らとしながらも、お客様の理想の物件を探すため最大限の努力をする。そうできるのが良い仲介業者さんだと思いますが、残念ながらそういう方はあまりたくさんはいないと思います。

 

誠不動産の鈴木誠社長

賃貸管理の仕事を長く続けてきた中で、この方は尊敬できるなあと感じた仲介業者さんに何人か出会ってきましたが、その筆頭には誠不動産の鈴木誠社長が挙げられます。

日本テレビの『有吉ゼミ』に出演されているので、ご存知の方も多いかと思いますが、誠さんは既存顧客から紹介された方だけに物件案内する完全紹介制を敷いておられ、そのお客様の希望条件に合うお部屋を本当に熱心に探しておられます。

今年2月に『幸運が舞い込む部屋探しの秘密』という本を出版なさり、早速読ませていただいたのだけれど、誠さんはお客様のしあわせをここまで考えてお仕事をされているんだなあと、あらためて尊敬の念を深くしました。

普通は利用駅、徒歩距離、周辺環境、間取り、家賃などの条件を満たすものを紹介するにとどまりますが、誠さんは「日当たり」や「生活動線」、「他の居住者」など、住んだあとの生活を深く考えてくれます。そして何と、頼まれたわけでもないだろうに「風水」まで気にしてくださっているのです。

しあわせな人生を送るためには、いい部屋に住むことがとても大事、という信念を持っておられ、自分のお客様になってくださった方のしあわせを願って本気でいい部屋を探そうと努力してくださいる。
しかもそれを長年、飽きもせず、ずっと続けてこられてきた結果、お客様がお客様を紹介してくださるシステムが機能するようになった。

それは本当にすごいことだと思います。

誠さんは完全紹介制なので、仲介をお願いするには少し高いハードルがありますが、理想の部屋を探すために、まずは優れた仲介業者さんを探すことから始めたほうがいいと私は強く思っています。

 

ワクワク賃貸物件を探すのもきっと同じです

ところで私が関わらせていただいているワクワク賃貸物件(=楽しいコンセプトのある賃貸住宅)を探すときも、きっと同じことが言えると思います。

というのは、私のワクワク賃貸物件を地元の仲介店舗さんが決めてくださることはわりと稀で、物件とは離れたところで仕事をされている業者さんが仲介してくださることが多いからです。

たとえば神楽坂にある「アンティーク家具付きの部屋」は新築時、神奈川県の仲介業者さんが決めてくださったりしましたし、先日募集した「元スナック店舗部分をLDKとして使っていただく賃貸戸建」は、沿線のずっと奥にある仲介業者さんが決めてくれました。

それらの営業マンに共通して言えるのは、お客様の要望や本音をしっかり汲み取り、知らない街にある物件だろうと、お客様に合っていると思えば紹介し、案内もする姿勢で仕事に取り組んでおられるということです。
効率重視で仕事はされていません。

そして契約後、楽しく暮らしておられる入居者さんに会いに来られる方もいて、その面倒見の良さには感動させられます。

そもそも希望の物件を探す熱意と努力、張り巡らせた強いアンテナの力がないと、遠方のワクワク賃貸物件は見つけ出すことすらできません。

そんな凄腕の仲介業者さんに出会えて、この入居者さんはしあわせだなあ、ラッキーだなあ・・・と思うことがよくあります。

 

将来、仲介店舗はなくなるという説もあるけれど・・・

さて、読者の方の中には、「将来、仲介店舗がなくなるかもしれない」という話を聞いたことがある方もおられるかもしれません。

物件情報はネットで探し、画像や動画で室内の様子を見て、Googleマップで周辺環境を確認し、内見希望したら大家さんや管理会社が遠隔操作で鍵を開けておいてくれる。

気に入ったら大家さんたちに連絡し、ネットで申込みや契約手続きを行う・・・。

未来のお部屋探しはそんなふうになっているかもしれません。

ただ、仮にそうなったとしても、誠不動産の鈴木誠さんや、私のワクワク賃貸物件を決めてくださる凄腕の仲介業者さんたちは、活躍の場を失うことはないと思っています。

いろいろな方面にアンテナを張り巡らせ、物件情報を収集・分析し、必要に応じて大家さんや管理会社と交渉し、お客様の理想の部屋を探し出してくる。

どんな部屋が最適だと思うかという提案までしてくれる。

そういう仲介業者さんたちなら、AI技術が進んだとしても、AI以上のお部屋探しをしてくださるから悠々と生き延びていくことができる。

私はそう信じて疑いません。

願わくはすべての仲介業者さんたちが誠さんのようになってほしいです。

そうなれば、ワクワク賃貸物件と、それを求めているお客様とがもっと容易に出会えるようになり、私もずいぶん楽になります(笑)。

「結局そこか!?」とツッコまないでくださいね。

 

執筆:久保田大介

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久保田 大介

『ワクワク賃貸®』編集長。有限会社PM工房社・代表取締役。 個性的なコンセプトを持った賃貸物件の新築やリノベーションのコンサルティングを柱に事業を展開している。 2018年1月より本ウェブマガジンの発行を開始。 夢はオーナーさん、入居者さん、管理会社のスタッフさんたちがしあわせな気持ちで関わっていけるコンセプト賃貸を日本中にたくさん誕生させていくこと。

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