《 ワクワク賃貸妄想中 》番外編Vol.003

タイニーハウスでの暮らしや商売を自分の目で見て実感!~『TINYHOUSE FESTIVAL 2020』レポート

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新型コロナウイルスに負けず、今年も開催!

昨年初めて開催され、大好評だったタイニーハウスの祭典、『TINYHOUSE FESTIVAL』
第2回となる今年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、開催が危ぶまれましたが、主催する「東京ビエンナーレ2020 TINYHOUSE PROJECT実行委員会」の並々ならぬ情熱と努力により、2020年11月20日~23日の4日間、南池袋公園(東京都豊島区)で無事開催されました。
今回は万一中止となってしまった場合、タイニーハウスの所有者たちにかかる迷惑を最小限にとどめるべく、6棟(台)に絞り集結。来場者の参加費も無料とし、自由にタイニーハウスの中に入ったり、所有者と話ができたりする内容となりました。

展示されたタイニーハウスうち、3台(※いずれもバンを改造したもの)が今年新たに出展されたもの。前回に引き続き出展された3棟は昨年の記事で詳しくご紹介しましたので、今回は初出展となる3台を中心にご紹介します。
まずは開催ギリギリに完成した居住用タイニーハウスから!

開催当日の朝に完成した居住用タイニーハウス

製作した大石義高さん

はじめに紹介するのは、バンを居住用に改造したタイニーハウス。
製作したのは建築設計施工やDIYサポートをメインに活動する楽工隊(らっこたい)の大石義高さんです。
実は完成したのがフェスティバル開催当日の朝(!)と聞いてビックリ! よくぞ間に合ってくれました(笑)。 “出来たてほやほや”のタイニーハウスの室内をさっそくご覧いただきましょう。

大石さんが製作したタイニーハウスの室内

室内に入ると、まず奥にあるデスクとチェアが目につきます。
大石さんは住居兼職場として使うことを目的に、このタイニーハウスを製作しました。
大石さんには“普通”の住まいはなく、これまでは軽ワゴン車で生活されてきたとのこと。

「以前は、賃貸マンションで暮らしていたのですが、軽ワゴン車であちらこちらの現場を回ったり、打ち合わせに行ったりしていて、遠方のときは車内でそのまま眠ってしまうことがあったのですが、あるとき『ここで十分暮らせるな』と気づいてしまったんです(笑)」(大石さん談)

そこでマンションを引き払い、軽ワゴン車で暮らし始めたのですが、仕事をするにはさすがに手狭だったため、今回大型バンを改造したタイニーハウスを製作されたそうです。

壁の一部を倒すとベッドに早変わり!

でも寝るときはどうしているか気になり、質問しましたら、椅子を後ろに移動させ、壁に手を掛けました。

「ここを倒して上にマットレスを敷いたら、立派なベッドになります。まだ足をつけてないので、未完成なんですけど(笑)」(大石さん談)

なるほど、合理的にできています。狭いスペースを有効に活用しているわけですね。

合理的という意味では収納も実に合理的。
洋服をかけるクローゼット、冷蔵庫や電子レンジを置く棚がとてもコンパクトに設置されています。
クローゼットの下が下足入れになっているのも面白い! ミニマリストにはまさにピッタリの住空間となっています。

大石さん自慢の間接照明

でも全部が全部、合理的なだけならつまらない。大石さんの発想の素敵なところは、上手に「無駄」な遊びもしていることです。
たとえば、こちらの間接照明。
収納の一部の天板が円形にくり抜いてあって、ここに花瓶がすっぽり収まっている。その花瓶の底に照明器具が仕込まれていて、間接照明の役割を果たしています。
夜、暗くなった室内で、灯りをともした花瓶だけがポッと浮かび上がる感じ・・・想像するとうっとりしますね。

ところで、大石さんにはこのタイニーハウスを製作した狙いがもうひとつあります。
それはこのタイニーハウスがショールームも兼ねているというところ。

「タイニーハウスの設計・施工も僕の仕事のひとつなのですが、お客様に実物を見ていただくのにとても便利です。このタイニーハウスに乗って、お客様のところに出かけていけばいいだけですから(笑)」(大石さん談)

タイニーハウスを製作する人は、頭の中も合理的にできているのですね。感服です。

「シャワーはジムで浴びれるし、トイレも公園などで済ませられる。食事も外でできますから、キッチンは要りません。生活と仕事の場として本当に必要なものだけがあればいいわけなので、自信をもってお客様に紹介できます」(大石さん談)

う~ん、何だか私もその気になってきてしまいました。

タイニーハウスを受注生産する会社

次にご紹介するのは、タイニーハウス、というより、それを受注生産する会社「SAMPO Inc.」です。
「TINYHOUSE FESTIVAL 2020」では同社が製作に関わった商売用タイニーハウスが2台展示されました。

SAMPO Inc.の創業メンバーのひとり、塩浦一彗さん

取材に応じてくださったのは、SAMPOの創業メンバーのひとりで建築家の塩浦一彗さん。
同社はタイニーハウスを製作できる工房と、バンを改造したタイニーハウスたちのベースキャンプを東日暮里に設けていて、今回展示されている2台もそこで製作されました。

「以前はお客様がつくりたいタイニーハウスを、ワークショップスタイルで一緒に製作していました。自分が欲しいものは自分でつくるというスタンスでした。でも、今はSAMPO自体のより洗練されたクリエーションを提供するために、我々のデザイン施工による受注生産方式に改めました。これにより、さらに質の高い空間をつくれるようになると思います」(塩浦さん談)

先に紹介するタコ焼き屋カーは、受注生産方式になる前に、焼いている松原陽士さんが一緒に製作されたもの。
この日はタコ焼きを販売していましたが、グリーンカレーを販売する日もあるそうで、とても自由な感じです。

松原さんが製作した針金アート作品

ふとタコ焼きカーの前に目をやると、何やら不思議なものが売られています。

「それは松原さんが、ベースキャンプの工房でつくったものです。2週間前に初めてつくって、面白そうだから実験的にここで売ってます(笑)」(塩浦さん談)

いやぁホント、堅苦しい常識などに縛られておらず、とても自由でおおらか!

11月23日のみ出展された古着屋カー

取材当日(2020年11月21日)はなかったのですが、11月23日にはSAMPOが製作に関わったタイニーハウスがもう1台展示されました。
こちらは古着屋カー。ここに古着を並べ、都内のあちらこちらに移動して販売しているそうです。

昨年展示されたサウナ・トラック

昨年展示された居住用タイニーハウス

聞けば、昨年展示され、私も大いに関心を持ったサウナ・トラックや居住用タイニーハウスも東日暮里の工房で製作されたものとのこと。
サウナ・トラックは所有者さんが日本中あちらこちらの湖畔でサウナを楽しみたいと熱望し、移動式サウナとして改造されたバン。
居住用タイニーハウスは運転席の上部にベッドを設け、後方を小さなリビングにするなどコンパクトな住居に改造されたバン。
SAMPOさんは本当にたくさんの方の夢を実現されているのだなあ、と感心しきりです。

「バンを改造したタイニーハウスの製作をお手伝いするだけでなく、拠点となるベース基地を設けています。そこではシャワーを浴びられたり、食事をつくれたりします。東日暮里のほか、三軒茶屋に2カ所、駒澤大学に1カ所設けていて、さらにポップアップで使える場所は都内に5カ所あります。拠点はもっと増やしていきたいので、場所を貸してくださる不動産オーナーさんを随時募集中です!」(塩浦さん談)

いやぁ、それは面白い!
実はこのお話、去年のフェスティバルでも現地におられたスタッフの方に伺い、ものすごく興味を持ちました。その後すぐ、取材申し込みをしたのですが、なかなか連絡が取れず断念していました。しかし今回お話を伺った塩浦さんは創業メンバーのおひとりということで、あらためてベース基地の取材依頼をしたところ、ご快諾いただけました!
後日、SAMPOさんの活動をさらに詳しく聞いてまいりますので、どうぞ楽しみにしていてください。

2年連続で展示されたタイニーハウスにも再会!

冒頭お伝えしたとおり、今年は新型コロナウイルスの影響で開催自体が危ぶまれていたため、展示されたタイニーハウスは6棟(台)にとどまりました。
最後に、昨年に続き今年も出展くださった3棟のタイニーハウスを写真中心にご紹介しましょう。

【えねこや】

こちらは電力会社からの電気供給に頼らず、太陽光発電システムを利用して自家発電して電気を自給できる“オフグリッド”タイプのタイニーハウス。キッチンやベッドだけでなく、エアコン、ペレットストーブもついているので、完全にここで暮らせます。

【エネルギーまちづくり社のタイニーハウス】

続いてはエネルギーまちづくり社が製作しているタイニーハウス。
エコな暮らしを実現させるために、屋根、壁、床に断熱材「ネオマフォーム」が使用されています。
中は購入された方がさまざまな使い方ができるようシンプルな状態に。
ちなみにこれまで150万円(税込)だったところ、この日は120万円(税込)にディスカウントされていました。

【タイニーハウス断熱プロジェクト】

最後は大学で都市環境や街づくりを学んでいた沼田汐里さんが株式会社HandiHouse projectの技術指導を受けセルフビルドしたタイニーハウス。 「断熱」の大切さを伝えるために製作されたそうで、「断熱等級の難しい数字や理屈抜きに、実感として『暖かい』『暑くない』を実感してもらいたい」(沼田さん談)という想いが詰まった素敵なタイニーハウス。
気に入った方には販売してくれるそうで、お値段は150万円と表示されていました。関心のある方は「ワクワク賃貸」編集部に連絡してくだされば、沼田さんにおつなぎします。仲介手数料は要りません(笑)。

新型コロナウイルスで注目を集めるタイニーハウス

昨年のフェスティバル時には全く想像できなかった新型コロナウイルスの蔓延。その出現は人々のライフスタイルを大きく変えました。そんななか、生活する場、仕事をする場を自由に移すことができるタイニーハウスへの注目度は大いに高まりました。
「TINYHOUSE FESTIVAL」は、タイニーハウスを自分の目で見て実感できる貴重な機会を私たちに与えてくれます。
来年もきっと開催されると思いますので、タイニーハウスに興味のある方は是非足を運んでみてください。

文:久保田大介

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久保田 大介

『ワクワク賃貸®』編集長。有限会社PM工房社・代表取締役。 個性的なコンセプトを持った賃貸物件の新築やリノベーションのコンサルティングを柱に事業を展開している。 2018年1月より本ウェブマガジンの発行を開始。 夢はオーナーさん、入居者さん、管理会社のスタッフさんたちがしあわせな気持ちで関わっていけるコンセプト賃貸を日本中にたくさん誕生させていくこと。

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