「空き家アトリエプロジェクト」第2弾
2024年3月に「空き家アトリエプロジェクト」という企画を開始しました。
「空き家アトリエプロジェクト」は家具や家電などが残されたままとなっている空き家を、DIY可、原状回復義務原則免除という条件でアトリエとしてご提供いただくというプロジェクトです。
オーナーさんにとっては、借り手がつくのであれば家具・家電を処分しようという気持ちになれるし、特別にリフォームをしなくても貸せる点がメリット。
アトリエとして利用したい方にとっては、手を加えたり汚したりしても原状回復が原則免除なので気楽に制作活動に取り組め、相場より安く借りられる点がメリットです。
2024年3月に募集した第1弾はアトリエとしての利用希望者が現れず不発に終わりましたが(その後、菓子工房として借りてくださる方と出会えました)、めげずに第2弾となる空き家の相談を受けてまいりました。
今回は、東京都豊島区池袋本町二丁目にあり、数ヶ月前まで製本工場だった「大野ビル」です。
製本工場には以前は断裁機、折機、中綴じ機などがあり、かなりの作業音が発生していましたが、それと同レベルであれば音出しがOKというのが第2弾の目玉(※音出しの時間は近隣へご迷惑をおかけしない範囲でお願いします)。
4階建てのビルのうち1~3階をご提供くださり、増築部分があるので正確な面積はわかりませんが、合計で120㎡以上はあるので、スペースもかなり広い。
さらには大型のリフトまでついているので、アトリエとしては相当いけてる気がします。
「池袋」駅まで歩いて17分という立地も魅力的です(最寄り駅は東武東上線「北池袋」駅で徒歩11分)。
この「大野ビル」の1~3階をまとめてアトリエとして使ってくださる方を募集します(シェアアトリエとしての利用も可能です。募集条件や募集方法は、後半に詳報します)。
まずは「大野ビル」のご紹介から始めます。
元・製本工場だった大野ビル
「大野ビル」は前述の通り、数ヵ月前までは製本工場として活用されていました。
1階と3階が工場で、2階は事務所、4階は倉庫となっていて、4階はオーナーさんが倉庫としてそのまま利用されますので、賃貸対象は1~3階部分となります。
1階は床全面が土間になっていて、工場の機械類が置かれていたことから、かなりの重量物を置くことができます。
制作活動の場とすることをオーナーさんもご承知なので、構造体をいじらない限り、釘を打ったり、汚したりするのはOK。将来退去されるときの原状回復は、基本的には求めない方針です(あまりに賃借期間が短く、次の借り手が現れないようなひどい使い方をされたら、求めることはあると思います)。
サッシが3箇所あり、そのうちの1つは3枚引き違い戸なので、かなり大きな作品も搬入・搬出できます。扉を外せばさらに大きな作品を出し入れできるでしょう。
また、サッシの外側にはシャッターがついているので、防犯性能も確保されています。
注目していただきたいのは、このリフト。
ゲージの内寸は幅1650mm、奥行き140mmあり、1~4階まで設置されています。
「荷物の運搬用なので人が乗ったまま作動させないでください」とオーナーさんから伝言を預かっています。
オーナーさんが4階の倉庫に荷物を出し入れする際、1階の室内に入り、リフトを利用させてもらいますので、その点は事前にご了承ください。
1階で水を使った作業をするときは、こちらのシンクをご利用いただけます。
前述のとおり1階は床が土間なので、制作中、床が水に濡れても問題がありません。
続いて2階をご案内します
2階にはキッチンとトイレがあり、以前はオーナーさんが事務所として利用されていたので、そのまま事務所利用するのが便利だと思いますが、作業スペースとして使っていただいても、もちろん構いません。
キッチンとトイレはこのフロアにしかないため、もし1階、2階、3階を分けて、シェア利用されるようでしたら、運用を工夫していただければと思います。
最後に3階です。
オーナーさんは3階も工場として利用されていました。
このフロアの床は長尺シートが貼られているので、汚れにも強いですが、ご希望があれば、クッションフロアやフローリング材などを貼っていただいても構いません。
また、元々はキッチンやトイレがあり、給排水管が3階まで来ているので、ご自身で設置していただくこともできます。こちらも必要に応じてご検討ください。
大野ビルの立地
大野ビルの立地もあらためてご紹介しておきましょう。
電車を利用される方は、最寄り駅は東武東上線「北池袋」駅で、徒歩11分という距離です。
「池袋」駅までも西口から徒歩17分なので、十分歩いていける範囲だと思いますが、自転車を使えば4分で着きます。
池袋は東京都が策定した未来の東京戦略で「国際アート・カルチャー都市」と位置づけられた街。
「池袋」駅の西口地区は「芸術文化の街づくり」をコンセプトに再開発が進められていて、3棟建てられる高層ビルにはアーティストのために育成支援や情報発信の施設が設けられる予定です。
「大野ビル」は再開発エリアからもほど近く、ここに制作活動の拠点を設けることは大きなメリットとなると思います。
「大野ビル」から歩いて2分のところに「ドン・キホーテ」があるのも何かと便利。
参考までに、築古・風呂なしの木造アパートであれば家賃2万円台から物件があるので、寝に帰るぐらいでいいという方なら是非ご検討を。
「前田湯」という銭湯も徒歩4分の場所にありますし、アトリエ内に自前でシャワーブースなどを設置いただくことも可能です。
コンペ方式で利用者を選定させていただきます
「空き家アトリエプロジェクト」第2弾となる「大野ビル」の入居者は、コンペ方式で決めさせていただきたいと思います。
コンペと言っても、作品で選ばせていただくのではなく、「大野ビル」の活用方法と希望賃料をご提示いただき、オーナーさんに最もフィットした方に賃借してもらいたいと思っています。
今回、私どもにご相談くださる前に、オーナーさんは「大野ビル」を地域のための公民館のような場所にしたいと考えておられました。
それは賃借くださる作家さんたちに強制するものではありませんが、単にアトリエとしてだけ使われるのではなく、地域住民に開かれた活動をしてくださる提案をしてくださったら、オーナーさんは優先したい考えです。
賃料は最低15万円を希望しておられます。
月額15万円以上であれば、いくらでも歓迎ですが、高い金額を提示された方を必ずしも選ぶわけではなく、地元の方に喜ばれるような活用もしてくださるのであれば、提示賃料が安くても優先する可能性があります。この2点を確認し、総合的に判断されます。
また、どなたか1人が責任を持って借りてくだされば、シェア利用も可能です。一緒にシェアする方はご自身で募り、管理をしてください。その場合はどのような方法でシェア運用をするのかもお知らせください。
それも選考の際、判断材料とさせていただきます。
今後の流れですが、まず年明け早々に現地説明会を開催します。
現地説明会への参加をご希望くださる方は、下記のメールバナーを使い、2025年1月6日までにお申し込みください。
日程は、参加希望者さんとオーナーさんの希望を伺って調整します(複数回開催する可能性もあります)。
現地説明会開催後、一定期間をおいて上記のコンペを行い、入居いただく方を決定します。
借りてくださる方が決まったら、オーナーさん側で家具等を撤去したあと、賃貸借契約を締結します。
利用開始は2025年3月ごろになるのではないかと考えています。
この進め方について、質問等がありましたら、メールバナーを使ってご連絡ください。
音出し可能のアトリエを、池袋徒歩圏内で提供いただけるのはそうそうあることではないと思いますので、多くの方々に検討していただければ嬉しいです。
文:久保田大介