武蔵野美術大学周辺の地主様からの相談
話は遡ること半年前、2022年2月のことですが、ある1通のメールが編集部に届きました。
お世話になります。御社の『ワクワク賃貸』を拝読してご連絡いたしました。
当社が管理する110坪ほどの平坦な土地に、未来を担う美術作家さんのためのアトリエ付賃貸住宅の建設構想を練っております。
不動産屋や建設業者の目線だけでなく、アートに慣れ親しんでいる方々の助言をいただけないかと思いご連絡いたしました。
場所は東京都小平市で、武蔵野美術大学の学生さんがよく一人暮らしをされているエリアです。
お手数をお掛けいたしますが、ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。
これまで「ワクワク賃貸」をご覧くださった不動産オーナーや管理会社さんから、「私の物件をアトリエ賃貸として紹介していただけませんか?」というご相談は多くいただいてきましたが、ゼロから始まる新築のご相談は初めて。しかも場所は武蔵野美術大学周辺という絶好立地。
具体的なお話を伺ってみたいと思い、すぐにメールを返信すると、またすぐにお返事が来て、候補地(小平市小川町一丁目)でお会いすることになりました。
現地にいらっしゃったのは、土地所有者(地主)様の義理の娘さん(以下「オーナーさん」といいます)で、お義父様が所有している土地やマンションの管理を柱とする会社を経営しておられるとのこと。今回は古いアパートが2棟建っている土地(227.15㎡)と、道路を挟んだ向かい側の土地(161.58㎡)に賃貸マンションを新築する予定ということでした。
古いアパート2棟は農業を営んでいたお義父様が50年近く前にご自身でつくられた建物だそうで(びっくり!)、かつては武蔵野美術大学の学生さんだけで満室になっていて、最盛期は30人ぐらい「空き待ち」の方がいたそうです。
傷みが目立ち始めてからは人にお貸しするのを控え、耐震性などにも疑問が残るため、取り壊して新築することにされました。
道路向かいの更地のほうは一部を駐車場として貸しておられますが、この機会にこちらにも新築することにしたとのことです。
武蔵野美術大学を訪問
お義父様は武蔵野美術大学周辺に、ほかにも広大な土地やマンション、築古の戸建てなどを所有しておられ、今回の候補地以外で先に新築や建替え等をしたほうが良いものがあるのかどうか、税理士さんを交え協議したり、一緒に大阪市大正区のシェアアトリエ「ヨリドコ大正メイキン」を見学したりしながら、半年かけて話を詰めてきました。
結果、当初ご相談いただいた小川町一丁目の土地に2棟新築することが正式に決まり、私もそのお手伝いをさせていただくことになりました。
今は建築会社を決め、プランを練り上げる作業に取り組んでいて、年内に建築確認申請を出す予定にしています。
対象となる入居者さんは、美術作家さんや彫金、革製品の作家さんなど、ものづくりを生業としようとしている方たちとさせていただくことにしました。
中でも、武蔵野美術大学周辺という立地条件を活かし、大学卒業後、アトリエ確保に苦労されている美術作家さんを中心にしたいと考え、7月上旬にオーナーさんと一緒に武蔵野美術大学にご挨拶に行ってまいりました。
私たちが一番願ったことは、武蔵野美術大学を卒業されたあとも制作活動を続ける方たちについて知りたいということと、どのようなアトリエ賃貸を望まれるのかご意見を伺いたいということです。大学側は前向きにご検討くださることになり、オーナーさんも私も大喜び。
ご挨拶した当日は、構内のアトリエもご案内いただき、在学中、どのような環境で制作されているか、自分たちの目で確認することができました。
ここで武蔵野美術大学のアトリエについて多くを語ることは控えますが、油絵学科と彫刻学科のアトリエを見学でき、新しいアトリエ賃貸をつくるうえで参考になる点が多数あり、本当にありがたいことでした。
随時、進捗状況を報告してまいります
今回のご報告はここまでとしておきたいと思います。
広さや間取り、アトリエとしての機能など、詳しいプランはもう少し固まってからご報告します。
オーナーさんとも話をしていますが、あまり家賃が高くなりすぎると、若い作家さんたちには縁遠いものになってしまうので、その点もよく考えて企画します。
またプランニングにあたり、更にリサーチを深め、また作家さんたちのご意見なども積極的に伺っていきたいと思っています。
その様子も記事にして、随時報告してまいります。
「空き待ち」登録をしていただきましたら、最新記事を配信したときお知らせします。また募集情報も空き待ち登録者さんたちには一足早くお伝えします。登録に費用は一切かかりませんので、是非ご検討ください。
文:久保田大介