アトリエ賃貸化の相談案件が増えてきています
アトリエ・工房がついた賃貸住宅=「アトリエ賃貸」を日本中に増やしていく「アトリエ賃貸推進プロジェクト」を担当している久保田大介です。
「アトリエ賃貸推進プロジェクト」は美術家・工芸家・家具制作者・アクセサリー作家などモノづくりに取り組んでいる方たちをメインの読者に据えて連載していますが、不動産オーナーさんや管理会社さんも読んでくださっています。
最近は読まれたあと、「私の所有する賃貸物件もアトリエ賃貸になりますか?」とお問い合わせくださる方も増えてきました。
一方、アトリエ・工房付きの賃貸住宅をお探しの方々からも「具体的な物件を紹介してほしい」というリクエストを多数いただいています。
そこで今回は現在(※2021年9月16日時点)リノベーション/リフォーム工事中の2物件を紹介することにいたしました。
1件目は東京都杉並区松ノ木一丁目にある6DK+Sの大型戸建てです。こちらはもちろんおひとりで借りていただいても構わないのですが、お家賃もそれなりに高くなるので、作家仲間同士でのルームシェアをご提案しています。
もう1件は東京都北区西ヶ原三丁目にあるアパートの一室です。東京メトロ南北線「西ヶ原」駅から徒歩7分、JR山手線「駒込」駅からも徒歩14分という立地の魅力もさることながら、オーナーご夫妻が美術家でいらして、アトリエ・工房として利用しやすいようリノベーション工事をされているのがオススメポイントです。
2物件とも現在工事中という物件なので、完成した姿は皆様にイメージしていただくほかないのですが、モノづくりをされる方にとっては得意分野だろうと前向きに考え、素材のまま情報をお届けします。
アトリエ&住居&ストックスペースを仲間とシェアできる6DK+Sの戸建て賃貸「O邸」
はじめにご紹介するのは東京都杉並区松ノ木一丁目にある「O邸」です。
こちらは間取りで表現すると6DK+S(※「S」はサービスルーム・納戸)という大型の一戸建て。
建物全体で165.52㎡(50.06坪)もあり、車庫や広い庭もついています。
この「O邸」を作家仲間とルームシェアしてくらしませんか?というのが今回のご提案です。
はじめにお断りしておきますが、「O邸」はリフォーム工事を最小限しか行いません。
バスルームとキッチンと洗面台を美装し、床が傷んでいるお部屋や脱衣室は補修し、網戸の破れなどは直します。また全室にエアコンを設置しますが、それ以上のことは行わない予定です。
そのため壁も床もお世辞にもきれいとは言えませんが、オーナーは
◯創作活動を行ううえで、壁や床を汚しても原状回復工事は原則不要(退去時ハウスクリーニング代をご負担いただくだけでOK)
◯壁を抜くなど構造をいじらなければ、DIYで自分たちの使いやすいように内装をアレンジしてもらってよい
◯事前に申請いただき、承認した事項は原状回復義務は免除
と言っておられます。
貸し出し当初に完璧にリフォームしてお住まいいただくわけではないので、汚れはあまり気にしないし、シェアメイトと一緒に自分たちの好きなデザインでクロスを貼ったり、ペンキを塗ったり、棚を設置したりしてもらって構わないというわけです。
モノづくりの場として借りたい方たちにとって、この自由度の高さは貴重ではないでしょうか?
それをふまえて、どのようにルームシェアができるのか考えていただくために、間取図を見ていただきましょう。
1階は応接間と洋室、和室が1室ずつあるほか、ダイニングキッチン、バスルーム、脱衣室、トイレなどがあります。
2階は洋室が3間です(そのうちの1室は中2階にあります)。
間取図を見ていると、いろいろな使い方が想像できて楽しいですが、私の考えたシェアプランは次のような感じです。
まず庭に面した応接間と洋室を共同アトリエにします。洋室のほうはダイニングキッチンに隣接していますから、ソファーやミニテーブルを置いてリビングルーム的な要素も持たせるといいかもしれません。
残りの4部屋はシェアメイト各自の個室にします。4部屋あるので4人でルームシェアできるというわけです。
どの部屋も広いですから、ここにこもって創作活動するのも「あり」だと思います。
創作活動をする方にとって、作品をストックするスペースがあることも重要ですが、「O邸」はそれも不自由しません。室内には納戸(クローゼットもついている!)や階段下収納などがありますし、屋外には物置まであります。車を使わなければ車庫もストックスペースとして活用でき、さらには自分たちの費用で庭に物置を増設することも認められています。
個室にせず相部屋にして、部屋をストックスペースにすることもできるでしょう。
これまで作品を保管する場所に困っていた方にとっては嬉しい環境なのではないでしょうか。
共同利用いただくスペースも写真でご確認ください。
トイレは1階と2階にひとつずつあるのでルームシェア向き。
玄関に広い下駄箱があるので、4人の靴もしっかり収納できます。
キッチンやバスルーム、洗面台は美装しますので、この写真とは見違えるようになるはず。
エアコンや照明器具も全室に完備されているのも嬉しいポイントです。
こちらは「O邸」の案内図です。
住所は東京都杉並区松ノ木一丁目で、最寄り駅は東京メトロ丸ノ内線「新高円寺」駅となりますが、歩くと19分かかります。すぐ近くにバス停(松ノ木住宅)があり、「新高円寺」駅や「高円寺」まで行くときはバスを利用するのがよさそうです(本数も毎時4~6本と多いです)。
バイクや自転車を停めておけるスペースもたっぷりあるので、バスや徒歩が面倒な方はそれらを用意するといいでしょう。
近隣は公園や運動場が多く、創作活動に疲れたら散策するのにうってつけ。近所に銭湯があるので、のんびり寛ぎたいときは是非利用してください。
最後に気になるお家賃ですが、月額24万円を予定しています。
24万円と聞くと一瞬高い気がしますが、4人でルームシェアすれば一人あたり6万円です。
6万円でアトリエと住まいとストックスペースを確保できると考えたら相当割安感があるのではないかと思います(普通にアパートを借りるだけでも都内なら6万円はしてしまいますよね)。
普通の戸建てを借りてルームシェアすることも考えられますが、「O邸」は前述の通りDIYが認められていて、原状回復も原則不要(ハウスクリーニングは必須)という利点があります。
何より最初からルームシェアが認められているのも大きいと思います。 作家仲間と急ぎ相談してみてください。
美術家であるオーナー夫妻がモノづくりする人を応援するためにリノベーションした「芙蓉荘」
続いてご紹介するのは、オーナー夫妻が美術家だというアパート「芙蓉荘」の201号室です。
元は2Kの間取りの普通のアパートでしたが、オーナー夫妻が「モノづくりする方を応援する」というコンセプトでリノベーション工事をしています。
リノベーションのポイントは次の通りです。
[芙蓉荘・リノベーションのポイント]
1)床はコンパネで、ペンキや絵の具などを垂らしても構いません。
2)天井は鉄骨むき出しの状態で屋根を貼りませんので、天井が通常より高くなっています。
3)遮熱・断熱のために屋根にガイナ塗装をするため、天井材が貼っていなくても、暑さ・寒さはさほど影響がありません。
4)一部、オーナーへの申請なしに棚を設置したり、塗装したりできる壁もあります。
5)絵筆を洗うことなどに使えるよう、業務用のダブルシンクのキッチンを入れます。
6)電気のアンペアは50Aまで増やせます。
7)シャワーブース(浴槽はなし)を新設いたします。
写真と合わせてご覧いただきたいのですが、要は部屋全体を完璧に作り込まない状態で貸し出されます。床もフローリングやクッションフロアなどが敷かれずコンパネの状態。天井も鉄骨が剥き出しの状態です。
一方、キッチンは食事用と絵筆を洗う用にシンクが2つ設けられ、小さなバスルームは撤去されシャワーブースだけが新設されました。
「余計なものはなく、自由がある」
言葉で表現するならばそんな感じのリノベーションです。
「芙蓉荘」は今回建物全体の大規模修繕工事も行っています。屋根、外壁、階段、玄関ドアなどもリニューアルされるほか、館銘板は号室表示の文字はオーナー夫妻がデザインします。こちらも間もなく完成する予定で、どのような姿に生まれ変わるか楽しみです。
「芙蓉荘」は東京都北区西ヶ原三丁目にあり、最寄り駅は東京メトロ南北線「西ヶ原」駅です(徒歩7分。JR山手線「駒込」駅までも歩いて14分で行け、にぎやかな商店街を抜けていくので、個人的にはそちらのほうをオススメしたいです。周辺はセブンイレブンが近くにありますが、閑静な住宅街なので、創作活動をするには良い環境だと思います。
お家賃は75,000円(ほかに共益費3,000円)とリーズナブル。シャワーブースがありますから住居としても使えますし、アトリエとしてだけ借りるのもいいかもしれません。
気軽にお問い合わせください
以上、駆け足で2つのアトリエ賃貸物件をご紹介しましたが、敷金などの詳しい募集条件を知りたい方、工事中でも内見してみたいという方は「空き待ち」登録を使って気軽にご連絡ください。
ご登録の際、物件コードには「O邸」「芙蓉荘」と書いていただけると助かります。
ご登録をお待ちしています。
文:久保田大介