小商い賃貸アパートとして蘇った「KIIRO-SO」

「KIIRO-SO」のイメージスケッチ
本年(2025年)3月、「菓子工房賃貸推進プロジェクト」Vol.025(菓子製造販売業をしたい方たちを支援する、夢の菓子工房ヴィレッジをつくろう!~「COUNTDOWN LAB KINSHICHO」トークイベントのご報告)にてご紹介した宮本宜一オーナーとビーフンデザインのコンビが、東京都板橋区大谷口上町にある築古アパートを全室小商い賃貸物件にリノベーションするという大胆なチャレンジをなさいました。
外壁全体を黄色く塗装したことから「KIIRO-SO(キイロソウ)」と命名されたこのアパートには4つの部屋がありますが、前述のトークイベントの流れから、そのうちの1室を自前の菓子工房を持ちたい方のために提供したいという申し出をいただきました。
東京メトロ有楽町・副都心線「千川」駅から歩いて13分というロケーションで、東武東上線「大山」駅も徒歩圏内(14分)。近隣は住宅街で、飲食店がほとんどないことから、小さなカフェやバーなどにできる小商い賃貸部屋が設けられた「KIIRO-SO」には多くの利用客が集まるだろうことが期待されます。
菓子工房には商品受渡し用の窓口も設けられているほか、カフェなどになるであろう小商い賃貸部屋の方と一緒に商売ができる可能性もあり、とても魅力的なプロジェクトです。
今回はその菓子工房部屋と、小商い賃貸部屋として活用できる他室もあわせてご紹介します。
まずは自前の菓子工房を持ちたい方へ提供いただいた02号室からご案内します。
菓子工房やお惣菜製造場にできる02号室

02号室の室内。現在はスケルトンになっている

02号室の間取図
菓子工房やお惣菜製造場とすることができる02号室は1階奥にあり、専有面積は17.43㎡です。
現状はトイレと前室、販売用窓以外はスケルトンになっていて、この部屋を借りてくださった方が、ご自身の使い勝手に合わせてキッチンや作業台、手洗いなどを設置いただく方式が採用されています。

菓子工房となった02号室のイメージスケッチ
室内には給水管と排水管の接続口が設けられていて、キッチンや手洗いは好みの位置にレイアウトできます。
キッチンのシンクも菓子製造なら1槽式、お惣菜やお弁当なら2槽式と、つくりたいものに合わせて自由に選び、設置いただけます。

奥から入口方面を見た02号室の室内。販売窓口は玄関左にある

02号室の販売窓口
つくりたてのお菓子やお弁当を予約注文された方に、商品を手渡しできる販売窓口が設けられた点も長所のひとつ。お客様の顔が見え、言葉を交わせるのは嬉しいですよね。

02号室のトイレ(奥)と前室
トイレと前室、トイレ用の洗面台は予め用意されているため、入居者さんはその分の負担が軽減されています。
結果、入居者さんがご自身で施工いただくのは、キッチン、レンジフード、手洗い、壁・天井のクロス、床材(クッションフロア等)、エアコン等となり、工事費負担は100万円程度になるのではないかと予想されます(冷蔵庫、作業台などの調理設備機器は除きます)。
賃料は63,800円(税込)、共益費は5,500円(税込)と設定されていて、税込みで7万円を切っていますから、初めて菓子製造業に取り組む方にとってはありがたい条件ではないでしょうか?
飲食店やカフェに利用できる01号室

テラス席のある01号室

01号室の間取図(レイアウトプラン付き)
続いて菓子工房部屋(02号室)の手前にある01号室をご紹介しましょう。
01号室には屋根付きのテラス席(4.7㎡)とオープンなテラス席(3.8㎡)があり、厨房ではガス調理器具も使用できるので、本格的なフードを提供する飲食店が開けます。

01号室の厨房
厨房スペースは7.2㎡とコンパクトですが、2槽式シンクのキッチンやガス台、冷蔵庫や作業台などのレイアウトはしやすそうです。
開けばカウンター席やテラス席が見渡せる窓があって、明るく開放的な印象です
01号室は暮らしながら小商いができることをコンセプトとしているため、厨房の奥には居室があります。
飲食店として使用するキッチンは生活用としては使えないため、居室にはミニキッチンが用意されています。
ほかにも洗濯機置場とシャワールームがあり、すべてコンパクトではありますが、その分、お家賃も安くしてくださっているからありがたい(賃料:88,200円[税込]/共益費:7,350円[税込])。

トイレはお客様用と併用
トイレは厨房の横にあり、お客様と併用していただきます。
専有面積は02号室と同じ17.43㎡で、この中によく飲食店用の厨房と、生活用の部屋、水回りをおさめたものだと感心してしまいます。
それに加えてテラス席があるので、ゆとりすら感じます。設計の力ってすごいものですね。
“to go”の小商いにピッタリな03号室

“to go”用のカウンター窓がある03号室

03号室の間取図
次にご紹介する2階の03号室は、01号室にはテラス席があるので飲食店と呼べる規模のお部屋であるのに対し、“to go”用の販売窓が設けられた“これぞ小商い賃貸”と言った趣の部屋です。

03号室の厨房
こちらは03号室の厨房スペースですが、大きく開くことができる販売用の窓はとても開放的で、窓の外にはカウンターがついているので、スタンドカフェとするのにぴったりな感じです。
厨房の奥に住まいスペースがあるのは01号室と同じ。
冷蔵庫とIHクッキングヒーターが備えられているので、すぐに小商い暮らしを始めることができます(注:02号室以外は冷蔵庫とIHクッキングヒーターが設置されています)。
賃料は76,650円(税込)で01号室より1万円以上安く(共益費は7,350円(税込)で同じ)、小商いしたい方にやさしい賃料設定になっています。
SOHO利用歓迎の04号室

04号室の室内

04号室の間取図
最後にご紹介する04号室は、01~03号室と違って“住まい”を想定した部屋です。
しかし、SOHOとして利用したい方が会社登記をすることが許されているので、“小商い賃貸”と言っても差し支えないと思います。

04号室のキッチン
キッチンは01・03号室にくらべてやや大きめ。前と右横に窓があるので、とても明るいです。

04号室のロフトベッド
キッチンの左横には上段をベッド、下段を収納スペースとすることができるロフトベッドがあります。
SOHOとして使うと商談に訪れる方が来る場合もあるかと思いますが、そんなときはカーテンやロールスクリーンなどを設置して閉めておくといいでしょう。
独立洗面台、洗濯機置場、シャワートイレ、シャワールームと生活用の水回りはとてもコンパクト。
そしてこれは特記しておきたいのですが、02号室を菓子工房として使う方が、“職住接近”の利を活かすべく 04号室をセットで借りることをご提案します。
04号室の賃料は69,000円、共益費は5,000円(※住居なので消費税はかかりません)なので、ほかで住まいを探すのであれば、一考の余地があるのではないでしょうか?
エリアのご紹介
「KIIRO-SO」の立地をあらためてご案内いたします。
最寄り駅は東京メトロ有楽町線・副都心線「千川」駅で、徒歩13分という距離です。
駅への道はほぼ大通りをまっすぐなので、感覚的にはもう少し近い感じがしますし、お客様への説明も簡単です。
東武東上線「大山」駅からは徒歩14分で、「千川」駅とは徒歩表示で1分の差ですが、道は直線ではなく、横断歩道もいくつかあるため、逆にもう少し遠い感じがします。
近くに日大板橋病院があり、「池袋」駅からのバスは本数も多くて便利です。
買い物は、「千川」駅、「大山」駅の近くまで行けばスーパーがいくつもありますが、「KIIRO-SO」の周辺はすぐそばにファミリーマートがあるぐらいなので、やや不便。
しかし不便だからこそ勝機(商機)あり。
私の知人がすぐ近くに住んでいて、周辺状況を聞きましたら、「カフェなどが近くにほとんどなく、日大板橋病院の喫茶店まで行くぐらいだから、『KIIRO-SO』にカフェができたら嬉しいですね」と言っていましたので、同じように考えているご近所さんはきっと多いはずです。
面白い小商いの場をつくりましょう

「KIIRO-SO」の外観
設計を手掛けたビーフンデザインさんは、これまで数多くの小商い賃貸物件をつくってきていて、コミュニティづくりに長けていることで知られている設計事務所です。
自社のオフィスも「SMI:RE YOYOGI+SMI:RE YOYOGI ANNEX」という小商い賃貸マンションの一角に設けておられ、今回の「KIIRO-SO」は管理もされることから、入居者さん同士のコミュニティ形成や、相乗効果の演出にきっと力を発揮してくれるはず。
菓子工房にしても、小商いにしても、住宅街の真ん中で、ひとりポツンとやるのは大変ですが、4室=4人の“同志”がいて、ビーフンデザインさんがサポートしてくれるという環境は、創業するうえでとても心強いと思います。
入居を検討くださる方は、ビーフンデザインさんにおつなぎしますので、下記メールバナーを使って、まずは編集部にご連絡ください。
小商い暮らしをしたい方が4人も集まる「KIIRO-SO」を、魅力あふれる場にしてくださったら嬉しいです。
文:久保田大介